右下腹部の痛み ~それってもうちょう?
腹痛は病院を受診される代表的な症状の一つです。
おなかには様々な臓器があり、痛みの場所により病気を推測することができます。
今回は右下腹部の痛みについてご紹介します。
右下腹部の痛みというと、真っ先に「もうちょう」を連想されるかもしれません。
正しくは虫垂炎といい、大腸の一部から細長く伸びた虫垂が炎症をきたすことで発症します。
一生涯に7~14%発症するといわれ、右下腹部の痛みで最も考えやすい病気です。
しかし、似たような痛みとなる病気はほかにも多数あります。
①大腸憩室炎
大腸の壁の一部が外側に突出した憩室という部分に炎症が起きたものです。
基本、手術になることはほとんどありませんが、入院治療となることが多いです。
②腸間膜(回盲部)リンパ節炎
腸のまわりにあるリンパ節が腫れる病気です。
豚肉や魚介類などに含まれるエルシニア菌が原因といわれ、若年に多くみられます。
抗生剤投与が一般的ですが、自然に改善することも珍しくありません。
③宿便(便秘)
ひどい便秘では右下腹部が痛くなることがあります。
④尿管結石
腰痛が多いですが、時々、下腹部痛が主体となることがあります。
突然強い痛みが出るのが特徴的です。
⑤婦人科疾患
女性では右下腹部に卵巣があり、卵巣出血や卵巣腫瘍による茎捻転(ねじれること)などが
みられることがあります。
以上のように多彩な病気のこともあり、必要に応じてエコーやCT検査などで診断することが重要です。
消化器外科部長 林 祐一