五十肩のお話
五十肩という言葉を聞いたことがあると思います。
調べてみますと、「俚諺集覧」(1797年)に「人五十歳ばかりの時、手腕骨節痛むことあり、程過ぐれば薬せずして愈るものなり、これを俗に五十腕とも五十肩ともいふ」と記載されているそうです。
病院では肩関節周囲炎と呼んでいます。
肩の痛みがあり、肩の動きが悪くなり、レントゲンを撮っても異常がないと、まずは肩関節周囲炎ではと診断されます。
言葉のとおり肩の周囲の炎症が起きている状態ですが、炎症の部位は腱板(4つの筋肉から出来ています)、関節包(関節をつつんでいる袋)、滑液包(関節の周囲にある袋)、靭帯など様々です。
何故、炎症が起きるかは、今一つ分かっておりません。
ただ糖尿病の患者さんでは頻度が高いといわれております。
治療をせずとも自然になおる患者さんがいる一方、長期経過調査では、50%程度の患者さんに症状が残り、11%の患者さんがなんらかの日常生活の障害を訴えたとの報告もあります。
鑑別疾患としては腱板損傷などがありますので、症状が持続した場合にはMRI検査を行います。
治療としては肩関節周囲炎の病期(急性期、慢性期、回復期)に併せて、痛み止めを処方したり、注射をしたり、リハビリを行ったりします。
症状がどうしても、取れない場合には内視鏡による手術が行われることもあります。
副院長 兼 整形外科部長
加藤哲司