胆石と手術
「胆石の手術を受けたほうがいいでしょうか。」
という相談を受けることがあります。
胆石の80%は胆嚢にでき、多くは症状のない無症候性胆石であり、その後の症状出現率は、年に2~3%です。
よって、症状のない患者さんは経過観察でもよいと考えます。
一方、胆嚢炎等の症状が出た場合には、緊急手術が考慮されます。
全身状態がよい方の胆嚢炎の場合、発症72時間以内では緊急手術が勧められます。
それ以上経過したものは、手術合併症の増加がみられるため、手術以外の治療(保存治療)を選択することが多いです。
全身状態不良で手術に耐えられないと判断される患者さんも、保存治療が選択されます。保存治療が奏功し、一旦、胆嚢炎が落ち着いても、その後症状が再発することが多く、再発前に手術を行うかどうかは、症例によって判断が異なります。
本邦のNCD(手術等の情報を登録するデータベース)によれば、日本では毎年約10万人に胆嚢摘出術が施行され、300人弱が手術関連事項で死亡されています。
80歳以上の高齢の患者さんでは手術関連死亡率が10%を超えるとする報告もあります。
全身状態が悪い患者さんでは、手術の選択の判断が難しいのが現状です。
ただ、お若い方や元気な方でも手術合併症は起こりえます。
そこをご理解ご納得された上で、全身状態がよい方は手術を選択されてもよいでしょう。
外科部長兼手術センター長 高山 宗之