身近でも自分や家族がなるまで知らない誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は日本における死因の第6位で実は身近な病気です。
入院となる高齢者の肺炎では、
その多くが誤嚥性肺炎です。
食べ物や唾液などが声帯を超えて気管内に入ることを
誤嚥といいます。
健康な人でも誤嚥することはありますが、咳をすることで解除しています。
ところが、嚥下能力の低下した高齢者では誤嚥しやすい上に、それを解除する咳反射も低下することで、自覚のないまま慢性的な誤嚥を繰り返して誤嚥性肺炎となってしまいます。
嚥下能力は、のどの周りの筋肉と神経調節で行われています。
神経調節では反射的に気道を閉じ食道を開く働きをスムーズに行うために脳内で分泌されている「サブスタンスP」という物質が必要になります。
サブスタンスPはドパミンから作られ加齢現象でドパミンは減少します。脳卒中やパーキンソン関連疾患ではドパミンが減少し誤嚥が増えるようです。
加齢による筋肉量の減少も嚥下障害に繋がります。
家庭でもできる予防法としては、
免疫全般に関与する栄養状態を改善すること。
不潔な唾液中に10億個の細菌がいると言われるため、
口腔ケアをして口腔内を清潔に保つこと。
コロナ禍の現状では難しいですが、嚥下と発声の筋肉は繋がっているので、
よく話す、歌う、朗読などで飲み込む力を鍛えることです。
どんな病気でも予防が一番大切です。
内科医長 式守 克容