虫垂炎の治療について
虫垂炎は虫垂が炎症を起こす病気で、細菌感染が関係しています。
私が医師になった頃は、虫垂炎を疑ったらすぐに手術という時代でした。
現在は、CTなどの画像診断が進歩しており、虫垂炎の診断や、重症度等をある程度把握できるようになりました。それにより軽い虫垂炎であれば、抗生剤で治療することが増えてきました。
抗生剤治療の問題点は、抗生剤のみでは治らない場合がある点と、治癒後に再発の可能性があるという点です。再発率は、10~35%程度と言われています。
手術を選択した場合は、手術合併症のリスクがあり、これをゼロにはできませんが、メリットはほぼ再発がないことです。
どちらの方法でも、入院期間は虫垂炎の程度によって決まることが多いと考えます。
一方で、あまりにも重症な虫垂炎ほど、保存的に治療するといった考え方もあります。
例えば、多量の膿がある虫垂炎では、そのまま手術を行うと虫垂以外も切除しなければいけない可能性があります。それを回避するために、何とか抗生剤で一旦治癒させ、後日改めて手術を行う方法を選択する場合があります。うまくいくと虫垂以外を切除せずに済みますが、期待したとおりの結果にならないこともあります。
虫垂炎の治療戦略はさまざまな考え方があり、それぞれメリットとデメリットがありますので、担当医とよく相談されることをおすすめします。
消化器外科部長 髙山 宗之